みなし取得価格の謎
最新のトピックスで、すっかり見落としていた重大な事項がありました。みなし取得価格に関する扱いが大幅に変わったようです。
みなし取得価格は本来、平成13年9月30日以前から所有していることが証明できる株式に対して、一般口座から特定口座へ、もしくはタンス株券から特定口座へ入れるときに、平成13年10月1日を基準とする株価の80%を、取得価格とすることができるという特例でした。この特例をもとに、平成14年末までに、投資家の特定口座への移行を促していたのでした。
ところが、平成15年4月より、改めてタンス株券の特定口座への受け入れが始まったときに、いつ取得した株であっても、みなし取得価格を採用できるようになってしまったのです。
具体的には、タンス株券の取得時期と取得価格が証明できない場合には、取得日を平成13年9月30日に、取得価格をみなし取得価格とすることができるのだそうです。株券入庫の際に記入する書類に、そのように記入するだけでOKだそうです。
より具体的な手続きは、各証券会社のWebページを参照してください。
ここで問題なのは、比較的最近購入したにもかかわらず、一度出庫した株券を取得日と取得価格が不明のタンス株券として、みなし取得価格で入庫することができる可能性があるという点です。みなし取得価格よりも時価の安い株券を購入し、一度出庫し、改めて特定口座にみなし取得価格で入庫してから売却すると、実際には利益が出ているケースでも、みなし取得価格との比較により損失計上となるそうです。
特定口座は本来、投資家の損益を管理し、適正な税収を上げるための口座のはずでしたが、複雑怪奇な税制の隙間をつくことで、利益を圧縮する投資家が増えるかもしれません。実際にはかなり手間がかかるため、どれほどの人がこの制度を使ってまで利益圧縮をするか未知数ですけど。
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