たしかにある、「バカの壁」
「バカの壁」養老孟司:著
が、ついに100万部出荷を達成したらしい、というので、読んでみました。
「話せばわかる」なんて大うそ! というキャッチコピーが目を引きますが、内容はとにかく人間をロボットに見立て、脳をCPUとし、演算時の係数により筋肉への反応が異なる、という説明に終始しています。
y=ax y:筋肉への出力 x:情報の入力 a:係数
極論すると、人間の行動原理はaの値によってすべて決まる。a=0の人が無気力人間。a=∞の人が原理主義の人、という感じで具体例が出てきます。
例えば美少女アイドル(例:松浦亜弥とか)を見たときに、普通の人はa=10くらいの反応、熱狂的ファンはa=100くらいの反応を起こす。
ほかにも、私が、株式投資の必要性を説いてみても、「値動きが激しいリスク資産には手を出せない」と最初から決めていて、聞く耳も持たない。こういうとき、その人の株式投資に関するaの値は、ゼロ以下、マイナスであり、株式投資に参加しないという行動を起こすことになる。
このように、人によりジャンルに対してaの値が異なるが、戦後教育はなるべくaの値がみな似たような値になるような教育を受けてきた。それなのに「個性を生かせ」とはどういうことか? aの値の異なる人を受け入れるのか? むしろあるジャンルにおいてaの値が極端な人間は、反社会的な人間で、望まれない人なのではないか? なぜ、そういうアベコベな要求を疑問もなく行えるのか? と、本書は問うています。
バカの壁、という言葉が頭の中で一人歩きしてとんでもない本、というイメージがすこしありましたが、実際には人間の行動原理に関する哲学書だと思います。
私は少し前から、自分の常識と他人の常識はおそらく違うのだろう、と思うようにしていました。本書を読んで、我が意を得たり、という感じです。
やはり人はその育ちの環境からaの値がさまざまに異なります。同じ情報から人が異なる反応を起こすことに対して、なるべく寛大でいる場面と、徹底的に対決する場面のメリハリが必要なのかな、とも思います。
※養老孟司氏のそのほかの書籍は↓こちら。(2004/8/13追記)
※松浦亜弥さんも、ご結婚されましたね。アイドルのころのアイテムは↓こちら。(2014/04/02追記)
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