株式投資信託の解約と売却の差を知る
株式投資信託を持っている人にとってはかなり重要な話題です。
2004年1月より始まっている証券の新税制においては、株式投資信託の換金のために解約すべきか売却すべきかが、とても重要な問題になりました。
「株式の譲渡益と株式投資信託の解約損、償還損が損益通算できるようになった」という説明を良く聞くと思います。
解約損なら株式の譲渡益と通算できるのか~。でもなんでだろ? と、漠然と聞き流していたのですが、実は次のような解説をすると、ずばっとわかると思います。
2004年1月より、公募株式投資信託においては、
というように変わったのだそうです。
配当並み課税、すなわち配当所得として扱い、課税するという意味でしょう。分配金が配当並み課税というのは理解しやすいです。また、解約益、償還益を配当並み課税にすることで、申告不要が選択できるというわけです。これらは、総合課税を選択することも可能です。
問題は、配当所得にはもともと「損」という概念がない点です(^^;;;
ですから、解約損、償還損に関して、リカバーできる方法を考えた。それが、株式譲渡益との通算なのでした。
解約益、償還益は配当並み課税、という説明があれば、逆、すなわち「株式の譲渡損と投資信託の解約益と償還益は(税制が異なるから)通算できない」がすんなり理解できるのです。
そして、税制から見れば「株式の譲渡益と株式投資信託の解約損、償還損の損益通算」は、配当並み課税と株式並み課税、総合課税と分離課税の合算なのですから、はっきり言って裏ワザです。
もっとも、投資信託で含み損を抱えていて、解約できずにいた人なら、今の好調な株式市場に乗じて、株式の譲渡益と相殺できるよいチャンスなのかもしれません。
ところで、「株式の譲渡損と投資信託の解約益と償還益の通算(※厳密には「投資信託の益、すなわち儲け」でした。2004/4/7追記)」をどうしてもしたいという場合は、投資信託を譲渡すればそれは株式並み課税となるのでした。
実は、売却の相手、買い手さえいれば、株式投資信託は株式との損益通算ができるのです。これまで投資信託の換金は解約もしくは償還がほとんどだったため、売却、譲渡に関して注目されていなかったのが本音でしょう。
証券業界では、外国籍の公募株式投資信託は上場させることにより、国内の公募株式投資信託は買取請求に応じることにより、譲渡損益として扱えるようにするようです。
したがって、投資家の個々の状況に応じて、投資信託は解約か売却か、慎重に考える必要がある、というわけです。
参考リンク:
「公募株式投資信託」の税制変更のお知らせ(丸八証券)
国内公募株式投資信託の税制に係るパンフレット(日本証券業協会)要PDFリーダー
※書いていくうちに、なんとな~く税制疑問符のアリ地獄にはまったような感覚が(^^;;;
※当然ですが、だいぶ変わってますので最新の情報でご確認願います。また、リンク切れを処分しました。(2014/04/17追記)
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