オニールはつまらん
ある程度、投資系の本を読みこなしてくると、納得がいかない本に出会う確率が高くなってきます。それだけ、いろいろな考え方を吸収し、自分の中で確固たる信条ができつつある証拠だとは思います。
「オニールの相場師養成講座」(パンローリング社)は、現段階の私としてはハズレの本でした。株式投資を始めて3冊目くらいに読む本であったなら、逆に評価がかなり高かったと思います。要するに、当たり前の内容ばかりでした。
それ以上に違和感を覚えたのは、株価を上げるためには、最後は政治頼みであるかのような内容に移っていった点です。
CAN SLIM法とは、要するに一株あたり利益が着実に伸びている会社を探し、新商品、新経営陣などの目立つ動きを示したときに、チャートを見て動きを確認しながら、なるべくよいタイミングで株式を買おう、という内容です。
オニールという人は、買った銘柄が比較的すぐ思惑通り上がらなければならないという考え方の持ち主のようです。そのための研究は怠り無く行われているようで、その点は敬意を表します。
私は通常、Eトレード証券のHTと野村證券のHTを使っていますが、CAN SLIM法をそれらのスクリーニングに当てはめると、次のようなパラメータになるのかな? と思います。
・Eトレードスクリーニング
ROEが17%以上
過去3年平均売上高変化率が25%以上
経常利益変化率がプラス
1日平均売買代金の降順ソート
75日移動平均線乖離が0%以上
以上で選択した銘柄のうち、クオンツスコア55以上のものを探し、さらに、四季報で1株あたり利益の伸びを確認して銘柄決定。あとはニュースとチャートを定期的にウォッチして買い場を探す。
・野村證券版クイックスクリーニング
売上高伸率が25%以上
ROEが17%以上
株価位置が85以上
以上で選択した銘柄に対して、四季報、最新ニュース、チャートをチェックして買い場を探す。
※スクリーニングにより銘柄が絞られすぎる場合は、自己責任である程度数字を動かす必要あり(^^;;;
最終的に、買い場と売り場を探すのが一番難しいです。投資を始めた人なら誰でもそう思うでしょう。
うまく買い場と売り場を探せるようになるまで、オニール氏は損得の割合を3対1にするよう提唱しています。おおよそ、利益は25~30%で確定し、損失は7~8%で抑えるようにする、とのことです。そして、経験を積むにしたがい、「例外」をつくっていく。経験が浅い段階での例外はケガの元です。
天井を見極めるためには、ディストリビューション(株価が下がっているのに出来高が上がっている日)に注目する。底値はわからないので、目先の底値(年初来安値とか)をつけた日から4日~7日待ってみる。出来高が伴って上がる場面があればその段階で打診買いしてみる、とのこと。
一部分を切り出すと役に立ちそうな内容がありますので、そこそこ勉強にはなったと思います。
最後に、オニール氏は、時代ごとに市場をリードする銘柄が入れ替わってきたことを強調しています。政府に対しては、新興企業への優遇税制と投資減税を促し、その新興企業が上場するような会社になったときの経済的効果は絶大だと説いています。すなわち、新しい時代には新しい銘柄が重要であり、それが生まれる社会環境は政府が作るべきだ、ということのようです。
この最後の部分が、私としては蛇足に思えて仕方がありません。最後は政治頼みなのでしょうか? ほとんどの投資家は、政治が変わろうが変わるまいが、投資で儲けられると考えている気がします。やはり、投資家は国の政治という手のひらの上でいい気になっている孫悟空なのでしょうか?
※のちに「国策に売りなし」のような格言も覚えました。(2014/04/30追記)
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