本当に借金に保険をかけなくていいの?
消費者金融において、借り手に生命保険が掛けられており、多くの債権が生命保険保険金によって回収されていたことが、あたかも社会問題化されています。
たしかに、消費者金融では、借金は「無担保」が前提になってます。
無担保が前提なのに、実際には人の生命を担保にしてるじゃないか、という理屈なのでしょう。
そして、命が担保になってるから、死んでも結果オーライとなるような取立てをしてるんじゃないか? という疑問が出ているというわけです。
ちょっと待て? 消費者金融だと騒がれるのに、住宅ローンだと問題ないのか? と不思議な気分です。
住宅ローンの場合、ほとんどの人が団体信用生命保険に入っていると思われます。
通常、住宅購入でローンを借りる場合、不動産が担保になります。
もし、このローンが支払えなくなった場合、不動産が取り上げられ、競売などにかけれられて債権が回収されます。
もっとも、最近では個人版民事再生法などの手続きもあり、その場合は、手続きにより決められた返済が済めば借金が返済されたものとされます。
それ以外、例えば借り手が不慮の事故や病気で亡くなったなどの場合は、遺族に借金を引き継がないよう、遺族が民事再生などの世話にならないように、団体信用生命保険によって住宅ローンが完済されるというわけです。
なお、最近では3大成人病で所定の状態になると住宅ローンが完済される保険もあります。
要するに、住宅ローンの規模にまで大きくなれば、生命保険をかけるのは当たり前のこととして、認知されているはずなのです。
さて、消費者金融です。
冒頭に書いたとおり、消費者金融は無担保による借金が前提です。また、なるべくすばやく返済してもらうことが前提であるため、金利が高いです。
借りたお金は、ちゃんと約束どおり返済するのが前提です。返すあてがないなら、借りてはいけません。
消費者金融だって、需要があるから貸すのですが、慈善事業や社会保障ではないため、返済してもらわなければ困ります。
もし、生命保険などのセーフティネットがなければ、借り手が亡くなったら、その借金は遺族に引き継がれます。年利20%でどんどん増えていく借金が、遺族にのしかかるのです。立つ鳥跡をにごしまくりです。
問題定義する側の言い分も理解できます。昨今話題のグレーゾーン金利で利ざやを稼ぎ、その利ざやで生命保険をかけている。消費者金融も儲かる。生命保険会社も儲かる。泣きを見るのは消費者金融を借りる人です。法外に思える金利の上に、知らぬ間に生命保険料まで支払わされているとくれば、腑に落ちない、解せないということなのでしょう。
もちろん、法律違反の金利は問題外です。しかし、返してもらえるか実績のな人にお金を貸すためには、ある程度の高金利は必要です。そして保険も必要です。高金利も保険も掛けられないとなると、消費者金融からお金を借りられる人はぐっと減ることになりそうです。
お金が借りられないときに人はどういう行動をとるのか? 生活レベルを切り詰められる人なら、最初から消費者金融からの借金はしないでしょう。さらに危険な、法外な金利の貸金業へと流れてしまうのではないか?
消費者金融を悪者にするよりも、消費者金融を利用させない、もしくは賢く利用させる金銭教育の重要性をひしひしと感じます。
【参考記事】
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