「金融資産を増やす」という便利な言葉があった
何を売買すればよいのか、商品を明示して人に説明する場合には、法規制がかかる。
けれど、その前にまず考え方を伝えるときには、微妙に法規制はかからない。
いちおう、FPの範囲内として、アセットアロケーションの解説までは、特に申請なくして資料を作って配っても良い、という話にはなっている。
よって、アセットアロケーションの説明をするための最低限の言葉、国内株式、国内債券、外貨、為替や為替レート、外国株式、外国株式あたりを解説文に盛り込むのは、問題ないのだろう。
ここから先に踏み込む場合、それは個別商品となり、グレーゾーンになる。
要するに、金融資産の一般的な分類までならば許されるはずで、金融資産運用の一般論を語る場合でさえいちいち申請が必要になるならばそれこそ言論統制に違いない。
もちろん、作った資料を元に詐欺扱いされない最大限の配慮が必要なのも確かなのですが。
いわゆる、自己責任、自分の金だから自分が責任を持つ、ということに、無頓着というか、深く考えていない人が多いように思う。
私としては、「なんかいいのない?」と聞いてくるお客様がいるとしたら、その人の口座開設はお断りしなければならない。今の法律では、そのお客様に損失を被らせて抗議を受けてしまったら、資産運用は値動きを伴うものであり利益もあれば損もある、それを納得するまで説明できなかったこちらに非がある、ということになる。
赤信号を承知で渡る歩行者や、右側を逆走してくる自転車に、自動車が突っ込んだら運転手が罪をかぶる。それと同じ理屈だろう。
より多くの人が、自分のお金を自分で増やしていけるよう、基本的な知恵を持たなければならない。リスクを理解してもらい、自分で考える力を付けなければならない。FPとしてできることは「金融資産運用設計」で学んだ内容を、できるだけ噛み砕いて、コンプライアンスの範囲内で解説することなんだろうと思う。