尊敬されないリーダーが選ばれる問題は根が深い
総理大臣が、安倍晋三さん以降、ほぼ毎年1人のペースで入れ替わっています。
小泉純一郎さんが5年で、平成以降の最長期政権ってのは、アメリカの大統領が最低でも4年務めることを考えるとちゃんちゃらおかしいのですが、実は平成以降、首相在籍が2年以上の人はほかに海部俊樹さんと橋本龍太郎さんしかいません。
小渕恵三さんのように、在任中に病気になるような不幸な例もありますが。
なぜ、首相がこれほどに短期で変わるのか、とても残念です。マスコミ報道や世論調査などの雲行きから、現在の菅直人首相も2年を超える政権にはなりそうもありません。2年目を迎えられるかどうかも怪しい雰囲気です。
ところで、総理大臣がコロコロ変わらざるをえない状況は、どうして起こっているのでしょうか?
振り返れば、小泉さんのときも途中で退陣となる危機がありました。小泉内閣は5年間のうち、合計で内閣改造を6回行っています。その間、参議院選挙を2回、衆議院選挙を2回(うち2回目は郵政解散時)戦っており、そのときの選挙結果や対応次第では、いくらでも退陣の可能性がありました。
それを、小泉さんは世論を見方につけるとともに、自身のリーダーシップで乗り切ったのです。
これは、特例中の特例でしょう。
他の、1年くらいで辞めることになる首相は、おおむね次のような経過をたどります。
・マスコミによるダメなところのあら捜し
・支持率下降
・選挙に勝てないからと退陣論が広がる
・選挙の前に辞めるか、実際に選挙で負けて退陣
そもそも、あら捜しが始まる段階で、首相への尊敬の念を感じません。
これを、リーダーへの尊敬の念と置き換えると、けっこう身近にも思い当たることがあります。
かれこで35年くらい昔の思い出ですけど、小学校や中学校などで、生徒のリーダーを決める選挙があります。
学級委員とかいうやつです。クラスを代表していろいろな仕事をこなすのですが、これを選ぶのも、選んだ後も一苦労でした。
まず、学級委員のなり手がいません。自分から手を上げるのはめったにいませんでした。
自分でやるのが面倒なので、人の良さそうな人を学級委員に祭り上げます。
学級委員が決まった後、その学級委員の言うことを聞かない人が出てきます。言うことを聞かない理由が、えらそうで気に食わない、というような変なことだったりします。
学級委員も、役割を与えられて成長する人もいるでしょうが、張り切りすぎて逆に反感を買うタイプの人もいます。
私などは学級委員の経験はありませんが、クラスより小さいグループ、班をまとめる班長くらいはやったことがあります。そのレベルのリーダーでも荷の重さを感じました。特に言うことを聞かない、聞けない人が班の中に混ざると非常に辛かった記憶があります。
昨今の首相に対するバッシング、コロコロと首相が変わる様子などを見ていると、小学生や中学生のころをどうしても思い出すのです。
すなわち、私たちは、子供のころからリーダーを決めることがヘタだし、自らリーダーとして周りを引っ張ろうと言う人が少ないですし、リーダーを尊敬する意思も弱いですし、リーダーの足を引っ張る人が多いのです。
えらそうな人間がキライ。何かあらを見つけたらバッシング。そして足を引っ張る。そんなことが小さいころから身に染み付いている人が多いのですから、首相もたまったものではありません。
ついでに言うと、よくキングメーカーなどという、影で首相の人選を操っているのでは、と思われる人の存在も話題になりますが、これも、要するに自分はやりたくないけど人の良さそうなやつにやらせとけ、という精神に通じます。
今後は、小泉さんのように首相になったら絶対にやりたいことが決まっているような人が、周りからも「あいつにやらせておけ」と油断しているうちに首相になる。ガリガリとリーダーシップを発揮して、回りを「しまった」と思わせる。民意も味方に付けられる。そんな「奇跡」を待たないと、政権は安定しないのかな? と思います。
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