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FPフェア2014福岡に行ってきました(その2)

遠方でのFPフェアに参加するのは、出張気分、旅気分にもなります。

ちなみに、福岡への遠征は、私が書籍編集者として某ソフト会社とゲーム関連書籍の打ち合わせをして以来なので、約15年ぶりになります。当時はシーホークに宿泊しました。シーホークは現在、ヒルトン系列なんですね。

今回は、FPフェア会場のアクロス福岡から適度に歩く、プールがあり、レストランも複数選べる、ちょっと欲張りなホテルを選びました。ちなみに、飛行機の移動はJALのマイルを活用したので、飛行機代が浮いた分、ホテルや食べ歩きでお金を使いました。

そんな旅気分を満喫することで、日中4時間半×2日分ものセッション受講のためのエネルギーを蓄えるのでした。

では、FPフェア2014福岡の、日曜日の分の各セッション感想です。

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● 特別講演 「世界経済の行方とアベノミクス」 日本総合研究所 理事長 高橋 進

結論としては、アベノミクスで内需喚起、円安、資産インフレが起こったとしても、外因、例えば貿易相手国の景気低迷、すでに済んでる工場海外移転、もともとの日本の競争力の低下などにより、思うような貿易黒字にはならない、というのが現状だそうです。

イスラム国問題、ウルグアイ問題、アメリカの緩和終了からの引き締め時期の問題、そして欧州デフレ懸念など、心配事ばかりです。

世界経済に頼れない以上、アベノミクスは、民間が投資したいと思えるような政策をどんどんやるしかない。たとえば、日本のおいしい果物はもっと輸出を増やすことができるのではないか、とのこと。

高橋氏の話は、世界中問題だらけ、に聞こえて、もう少し明るい展望はないものかと思いました。

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● ES18 「2015年からの相続税増税に関して」 東京ファイナンシャルプランナーズ 布施麻記子

かなりの長きにわたって活躍されているFP資格をもつ税理士さんです。今回、相続税に関する話がメインでしたが、それに関連して、小規模宅地等の特例や、贈与に関する細かい話が印象的でした。

重要なポイントを3つにまとめます。

・平成27年(2015年)1月1日より、相続税の控除額および税率が改正されます

特に、相続税控除額の変更により、相続税納付が必要な人がかなり増えると予想されています。

これまでの相続税控除額は、基礎控除5000万円+法定相続人数×1000万円でした。

それが、来年以降は、基礎控除3000万円+法定相続人数×600万円となります。

夫婦と子供2人の4人家族として、夫が亡くなったときの相続税控除額は、

年内なら8000万円、平成27年以降は4800万円となります。この差は想像以上に大きいです。

・小規模宅地等の相続税課税価格の計算特例が、細かく改正されます

まず、居住用小規模宅地は、平成27年1月より、330平方メートルまでの土地が適用されるようになります。本年内なら240平方メートルまでです。

そして、ある一定用件の相続人が不動産を相続した場合、評価額を80%削減できます。その条件とは以下のとおりです。

 >配偶者が相続した場合。
 >同居していた相続人が相続し、申告期限まで(相続発生から10ヶ月)住み続け、かつ所有し続けた場合。
 >亡くなった人に配偶者がいない、かつ同居していた親族もいない、別居していた相続人が過去3年間マイホームに居住していなかった場合、別居の相続人が相続して申告期限まで所有した場合。

なにやら小難しいですが、上記の規定を厳密に見ていくと、通常の戸建てのケース、区分所有登記があるケースで、なにやらもめそうな場合があるとのことです。間違わないためには、相続税に詳しい税理士の助けが必要です。

・相続税が気になる人は、まず贈与を試しましょう。非課税贈与を活用しましょう。

昨今より教育信託という、一気に将来の教育費用を非課税で贈与する仕組みが話題になっていますが、よくよく調べると、祖父母や父母が子供を扶養する場合においては多くのケースで贈与税は非課税になってます。

例えば、お小遣いは、常識的な金額ならば非課税です。また、年間110万円以内の贈与ならば基礎控除の範囲内です。

旅行や買い物に行きました。現地のレストランで食事をしたり、子供がほしがるおもちゃを買ったりしますが、その都度払いならばすべて非課税です。

学校に入学するに当たり、祖父母がランドセルを買ったり、入学費用を代わりに支払ったりした場合、実はこれも非課税です。ヘタに一度父母に現金を渡すと贈与とみなされる場合があるので要注意です。まぁ、すぐに教育費として使えばおとがめないと思われます。

なので、祖父母のみなさん、お金が余って相続税がかかりそうならば、思い切って孫の生活費や教育費にお金を使っちゃいましょう。

以上、特に目立った3点を取り上げました。なお、さらに細かい情報は、タックスアンサーで調べられます。

タックスアンサー:相続税及び贈与税の税制改正のあらまし(平成27年1月1日施行)

タックスアンサー:「扶養義務者(父母や祖父母)から「生活費」又は「教育費」の贈与を受けた場合の贈与税に関するQ&A」について(情報)

余談ですが、2次相続まで考えると、基礎控除3000万円+法定相続人数×600万円は、意外と低いハードルなんだとわかる身近な事例がありました。相続税対策が必要かどうか、誰もが確認してみる必要がありそうです。


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● ES23 「青色申告・白色申告の違い」 田中卓也税理士事務所 田中卓也

今回のFPフェア最後のセッションですが、自分としてはいちばん役に立つセッションでした。

いわば「ずるいあおいろしんこく」といった趣きでした。白色申告でさえ記帳が義務になったのですから、青色申告にチャレンジしてみれば? というメッセージを受け取りました。

今回の話の中で、あやふやだったことが改めてわかってショックだった内容がありました。

よく、税制関連の話で「事業」「業務」という話が出てきますが、この違いは何かご存知ですか?

実は、事業を行うとは生計を立てられることを言い、業務を行うとは小遣い程度を稼ぐことを言うのだそうです。

びっくりです。この定義に当てはめるなら、私の事業は・・・えええええ?????

気を取り直して、続けます。

今後は事業であろうと業務であろうと、規模にかかわらず帳簿を残すことが必要になります。

そして、白色申告ならば簡易簿記でOK。青色申告なら複式簿記が必要。そして、青色申告特別控除を受けようとするなら、貸借対照表と損益計算書が必要、という具合です。

白色申告はラクそうですが、青色申告であれば受けられる特典もバカにできません。

青色事業専従者給与を同居親族に支払うことができて、しかもそれが経費にできます。

また、繰越控除や繰り戻し還付が可能だったり、少額減価償却資産の一時償却が受けられたり、便利な面もあるのです。

でも、会計ソフトの導入も面倒だし、現金主義だし、とお悩みのみなさんもいることでしょう。

田中先生によると、レジの現金管理をしっかり行えば、事業専用通帳、経費支払いのみに使うクレジットカードのご利用代金明細書、小口費用のための現金出納帳をそろえれば、青色申告の用件が整うのだ、とのことです。

ただし、売上のレジは確実に打つことが必要です。そして、1日分の売上を〆めたら、即事業用口座に入金。大口経費は直接振り込みもしくはカード払い。小口現金は改めて引き出してレジとは異なる現金用サイフで管理する、という具合です。間違っても経費をレジから出して支払ってはいけません。

私自身、10年以上青色申告のために、会計ソフトを駆使して帳簿作成していましたが、こんな方法があるのかと目からうろこの思いでした。

以上のように、青色申告は意外と簡単なので、ぜひ取り組んで見ましょう。わからないことがあれば税理士に聞いて見ましょう。


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今回のFPフェアは以上です。

前に書いたとおり、今回は福岡開催ということで、旅気分も満喫しました。遠方開催では参加を躊躇する人も多いでしょうが、継続教育単位獲得だけだと息苦しいのは確かです。旅を楽しむこともセットにしてしまえばいいんじゃないかな、と思います。

なお、来年、2015年のFPフェアは、東京国際フォーラムで開催予定だそうです。私としては、旅ではなく通勤での参加になりそうです。

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