これまでまったくのノーマークだった「本多静六」について調べてみました
大学で学ぶことが正式に決まり、学生証やらテキストなど受講要綱の到着を待っている間、いろいろと本を読んでます。
大学の学問のための読書というよりは、FP業務としてのインプットとしての比重が重いものですが。
最近読んだ本で特に印象的だったのは、次の3冊です。
本多静六3部作。 『私の財産告白』、『私の生活流儀』、『人生計画の立て方』
実業之日本社:刊
これらの本をこれまで知らなかったとは、自分がとても残念です。それくらいいい本でした。
ただ、底本の発売が1950年~1952年と第二次世界大戦終戦後まもなくであり、内容が当時の世相や物価が前提なので、その点は読むときに注意が必要です。
本多静六氏は、林業博士であり、東京大学教授であり、全国各地の公園の設計に携わった方だそうですが、かなりの資産家でもありました。上記書籍には「本多式四分の一天引き貯金法」と称した蓄財手法に始まり、どのように生活するべきか、どのような人生を歩むべきか、といったことまで書かれています。
四分の一天引き貯金法について、もうすこし詳しく取り上げます。
FPとして貯蓄を進めるさい、給与天引は定番アドバイスです。これは、現在ならば会社の福利厚生制度などを利用することで比較的簡単に実行できますが、本多氏が実際に実行していたのは100年以上昔。おそらく給与の銀行振り込みなどありません。
しかも、給与を一度受け取った上で、四分の一を貯蓄に回すのですから、かなりの忍耐が必要になると思われます。現代の天引きならば、自分の手元に振り込まれた金額だけに集中すればなんとか気分が紛れます。
そして、天引きする額もすごいです。四分の一とは、25%です。現在の価値で20万円の給与を受け取るなら、5万円を天引きするということです。
もし、これが本当に実現できるなら、その人はたった3ヶ月で、生活費1か月分を蓄えることができることになります。
本多式によれば、余禄、つまりボーナスや副業による収入はすべて貯蓄に回すことになってます。これなら確かに貯蓄が早く進むことになります。
さて、いまどきの人たちは、ここまで腹の据わった蓄財を心がけられるでしょうか?
FPが普通にアドバイスするさいには、手取りの10~20%程度を貯蓄や積立投資に回すよう、お勧めしているはずです。
しかし、これですと、生活費1か月分の蓄えができるのに時間がかかります。毎月の20%を貯蓄する場合は4ヶ月、10%を貯蓄するなら9ヶ月もかかるのです。
当然、投資を始めるさいに基準になる、生活防衛資金3ヶ月分~2年分を蓄えるまでの期間が、だいぶ変わってきます。
本多氏のような資産家を目指すかはともかく、将来の余裕を作るための蓄財は、なるべく早く、できる限り多くしたほうがよいのです。岡本吏郎氏が『私の財産告白』の解説で、本多氏の論は「一般解」であると言ってます。
この「一般解」を、そのとおりだと思い、実行できる人が、将来の安定への近道を進むことになると、私も思います。
そして、本多氏が自身の林業の知識を使って山林を買って資産を作ることができたのをまねて、蓄えた貯蓄の一部をリスク資産に換える、というのも重要です。
話の内容は古いですが、その理論に関しては現代の蓄財にも通じると感じました。
【参考リンク】
ウィキペディア:本多静六
埼玉県HP:本多静六博士奨学金
久喜市HP:本多静六博士顕彰事業
埼玉新聞:本多静六博士物語(学習マンガ)
梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー(水瀬ケンイチ):「私の財産告白」(本多静六著)は私たち凡人の蓄財法&生き方の決定版
ろくすけの長期投資の旅:本多静六「私の財産告白」を読む
« モーニングスターアワード受賞記念セミナーを見てきました | トップページ | 投資信託はあまり細かいことを考えないほうがいい »
「日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事
- 今年も10月に入ったので年末のレコード大賞について妄想してみます(2024.10.05)
- アメックスプラチナの年会費が計上されていよいよ18年目に突入しました。(2024.09.24)
- 初めてのお使い、工場と問屋と小売店、そしていわゆる転売ヤーについて(2024.09.04)
- パリオリンピックが一段落(2024.08.12)
- 誰も幸せにならない直前すぎた体操五輪代表女子選手の処分について(2024.07.20)
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- FIREのロールモデルを雑誌記事で確認せよ(2023.08.22)
- 結婚が重要でない時代に何を相手に求めて結婚するのか(2021.10.16)
- まつもと泉先生,死去。(2020.10.14)
- 図書館に関する覚書(2020.07.14)
- 週刊ダイヤモンドの三田会記事が1冊になりました(2018.03.17)