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経済的自由、ファイナンシャルフリーは本当に自由か?

人は、日々の生活をするためには、コストがかかります。支出せねばなりません。

支出をトラブルなく続けるためには、収入を得続けなければなりません。

収入と支出のバランスが取れているなら、ひとまず安泰です。

しかし、今後も同様に安泰な生活を求めるためには、バランスが取れているだけでは不十分です。できれば収入が支出を上回る黒字にして、黒字分を蓄えていくことも必要です。

いざというときの蓄えは、保険としても機能します。そして、資産運用できるようになれば、追加の収入を得ることも可能です。

この、資産運用からの収入が、日々の生活支出を上回った状態を、経済的自由、ファイナンシャルフリーと呼んでいます。

では、経済的自由を得られた状態というのは、本当に自由なのでしょうか?

先ほど述べた通り、資産運用から得られる収入が、日々の生活による支出を上回れば、経済的自由を達成できていることになります。

よって、経済的自由を得るためには、まずは自分の支出を把握する必要があります。

居住費(住宅ローンもしくは家賃)、電気ガス水道など光熱費、食費が最低限必要です。そして、外出の必要があるなら交通費交際費、嗜好品をたしなむならその費用、新聞やNHKなどの代金も必要に応じて必要でしょう。

それらをすべて合計し、無駄なものは極力排除したとします。1か月20万円、年間で240万円の支出で暮らせるとします。

この、240万円の収入を得るために、どれくらいの規模の資産運用をするべきでしょうか?

面倒なので税金の計算はしませんが、おおよそ次のようになります。

年利3%の場合 240万円÷3%=8000万円
年利5%の場合 240万円÷5%=4800万円
年利8%の場合 240万円÷8%=3000万円

以上のように、おおよそ5000万円の運用資金を蓄え、それを5%以上の利回りで運用できれば、年間240万円ほどの支出ならば賄えることになり、経済的自由を達成できることになります。

ここで、大きく2つの疑問が思い浮かびます。

まず、生活にかかる支出は、いつまでも毎月20万円で済むのか? という問題です。
次に、本当に5%以上の運用利回りを永遠に継続できるのか? という問題です。

支出について考えてみましょう。月間20万円というのは、どれくらいの生活でしょうか? 今現在の物価なら十分でしょうか? インフレになったらどうなるでしょうか? お金のかかる趣味を始めたくなったらどうなるでしょうか? 配偶者を迎えることになったときに、そのような生活費で満足してくれるでしょうか? さらに家族が増えても生活費を現状維持できるでしょうか?

つまり、現在の生活費がまったく変わらないという想定で経済的自由を達成できても、その生活費を維持せねばならないという不自由が現れます。

運用利回りのほうは、もっと大変です。現在、銀行金利は、ネット銀行でさえ、年間金利が0.001%です。そのような時代に年率5%以上もの運用利回りを上げるには、少なくとも投資信託や株式投資など、リスクの高い投資を学ぶしかありません。また、不動産投資のような事業的規模の投資をしなければなりません。それらを行うには、かなりの事前の準備、小額投資からの経験の蓄積、そして高利回りを得るための運も必要になってきます。

そして、そのように努力を続けたとしても、運用利回りは安定しません。その、不安定な状況を見越して備えるのは、かなり不自由です。

経済的自由は、運用だけで生活できる状態であり、達成できればサラリーマンを脱することができてよいことのように思います。しかし実際には、経済的自由を続けるためには、その後もずっと節制を続け、収入を得るために投資を学び続け、運用を続けなければならないのです。

ロバート・キヨサキの書籍の中では、ラットレースを抜け出し、ファーストトラックに入ったら別世界であるかのような記述が出てきますが、ファーストラックに入っても自分の資産の管理は、自分で続けなければならないのです。それを楽しむことができるかどうかにより、当初想像していた経済的自由と、それに対する現実の印象が変わってくるのではないかと思います。

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