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レポートの書き方を復習する(資料編)

過去6年半年の間に、4000文字程度のレポートを20本程度と、卒業論文を書き上げました。それらを書くにあたっての段取りやノウハウを忘れてしまわないよう、まとめておこうという趣旨の記事を、先日1本書きました。前回はレポートの形式のあたりでつまずきそうな内容に注目したものでしたが、今回は参考書籍や資料の集め方について書いてみようと思います。

レポートの形式はわかった。しかし、大学のレポートにおいては参考文献を使わねばならない。それらをどうやって集めようか、ということに関するお話です。

次のような点に悩む人が多かったように思います。

・そもそも何を参考文献に使ってよいのか
・教科書は参考文献として使ってよいのか
・参考文献は買うべきか
・図書館が近所にない

ひとつずつ、見ていきます。

・そもそも何を参考文献に使ってよいのか

レポートを書くにあたって利用できる参考文献は、基本的には学術書になります。私は、学術書とは、大学教授を務める著者が書いた著作であり、参考文献表、および注釈、索引が備わっているもの、と理解しています。
基本的には、レポート課題、もしくは履修要綱に、それぞれ参考文献が掲載されてますので、そちらを探して利用するべきです。探し方に関しては、アマゾンなどネットショップを使う話と、図書館を使う話と分けて話したい部分があるので、ここでは参考文献の種類など本そのものの話に集中しようと思います。

参考文献として使える学術書は、大きく分けて4種類あります。

入門書
概説書
専門書、研究書
史料

入門書とは、中学生や高校生、一般社会人向けに書かれた優しい内容の本、という解釈です。学術書の要件を満たしていればなおよいです。ただし、マンガ本は、自身の知識のベースを作るうえでは役立ちますが、参考文献としては使わないほうがよいと思います。外形的には、ページ数の少なめの、それぞれ新書、文庫、単行本になります。

概説書とは、大学生向けに、学問ジャンルを総覧的に解説した本、という解釈です。ここからが本格的な学術書とも言えます。12章~15章ぐらいに分かれている本は、いかにも1章が大学の1コマ分の分量となっており、外形的に概説書だとわかります。

専門書、研究書は、概説書ならば1章分にも満たない狭い範囲を徹底的に突き詰めた本、という解釈です。ハードカバーであったり、ページ数が多い本であることが多いです。

史料は、研究の元となる、当時に実際の登場人物に記された文章などになります。プラトンやアリストテレスが実際に書いたとされる文章がそれにあたりますが、大学のレポートで使うなら、それらの現代語訳で十分です。

以上のような目安になりますが、これらの具体例を上げようとしたとき、やはり現物を見ないと難しいと思う面があります。人により前提知識が異なるため、入門書でも難しいケースもありますし、いきなり専門書、研究書から入れる人もいるでしょう。できるだけ、書店、図書館で実物を確認してから、参考文献を選ぶべきでしょう。

・教科書は参考文献として使ってよいのか
通常、大学の講義科目では、まず教科書(テキスト)が指定され、それに追加して参考文献が指定されます。では、教科書は参考文献に含めてよいものなのか?
これは意外と一筋縄ではいきません。教科書は、その講義科目の知識の大前提であるので、教科書に触れられている内容はわざわざ参考文献として注釈を入れる必要はない、という考え方がありますし、一方では、自分のアイディアではない以上、教科書の内容を引用するならば教科書も参考文献として注釈を入れるべき、という考え方もあります。

大学のレポートでは、剽窃の有無を厳しくチェックされることを考慮すれば、教科書も参考文献として扱っておくほうが無難に思えます。ただし、履修要綱等で「教科書以外に参考にした本があれば、参考文献としてまとめよ」みたいな記述がある場合、教科書を参考文献として扱う必要はないでしょう。

・参考文献は買うべきか
参考文献を買うメリットは、付箋を貼ったり、メモを直接書いたり、重要な個所に線や印を書いたりできる点です。一方、参考文献が専門書や研究書である場合、その価格は5000円以上、場合によっては1万円以上になります。それらを全部買い集めるのは、よほどの財力がないと不可能だと思います。やはり図書館の利用法を覚えるべきかと思います。

・図書館が近所にない
本当に図書館がないのか、まずは調べてみましょう。グーグルマップでもよいですが、カーリルの図書館マップというサービスが便利です。自分にとって一番便利な図書館がひとつ見つかれば、そこから近い他の図書館が一覧できたりします。

以上を踏まえた上で、これらの前提知識をフル動員して参考文献を探します。仮に、某大学の哲学史の講義においてレポートを執筆するケースを想定してみます。

教科書・配布テキスト(松本正夫『西洋哲学史-古代・中世-』 慶應義塾大学出版会)
レポート執筆用指定図書 アリストテレス『ニコマコス倫理学』
参考文献 内山勝利ほか編著『西洋哲学史[古代・中世編]』 ミネルヴァ書房
     内山勝利ほか編『哲学の歴史』第1巻(古代Ⅰ) 中央公論新社

教科書は学生向けに配布されてますが、もし配布されていないとした場合、実質的に絶版本であり、入手困難です。
入手困難とあきらめずに、まずは検索してみます。
Amazonで検索すれば、似た本も表示されます。買える値段であれば、買ってしまう方が便利かもしれません。
カーリルで検索すれば、貸し出し可能な図書館が調べられます。借りられる図書館が近くにあればラッキーです。
買える値段ではなかった場合や、借りられない場合などでも、まだあきらめる段階ではありません。遠隔コピーサービスがある図書館ならば、それを活用しましょう。目次情報などがあれば事前に調べて、著作権の範囲内であればページを指定してコピー代と郵送代の実費でコピーしてもらえます。
どうしても目当ての本がなかった場合は、似たタイトルの本、もしくは著者が同じ人の別な本を探してみましょう。
そして、自分が探して、使ってみようと思った本が参考文献として利用できるのかどうか心配ならば、某大学のメディアセンターで検索してみて、その本が所蔵されているか確認してみましょう。所蔵されているなら、参考文献として利用しても問題ない可能性が高まります。

もっとも、参考文献の活用の際に、その参考文献が学術書であり、引用注釈の作法がしっかりしているならば、参考文献が指定されたもの以外であっても問題ないケースも多いので、それぞれの事情によりベストを尽くせばよいと思います。

それにしても、自分ならどうやって参考文献を探すのか、というのを、いざ文章にしてみようとしたら、意外と難しかったです。そして、実際には、集めた参考文献をどのようにレポートに落とし込むのかも難しいのですよね。

次回は、その落とし込みの話になると思います。

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