FIREというライフスタイルについて
Financial Independence, Retire Early を語る場合、REとなるのはどれくらいの年齢なんでしょうね?
少なくとも70代まで勤労収入が必要な人たちが多数となったこのご時世で、60代で定年退職後、再就職をしない人というのも、十分にREなのではないか?
かなりの無理をして20代~30代後半などでFIを達成しても、REまで実行してしまったら、せっかくの残りの期間、緊密な人間関係など社会性を失うことにならないか?
もちろん、人間関係が煩わしいと思って、それでFIREを目指して、FIREを達成できれば晴ればれして、自分の好きなことのみをして、他人を煩わせることも、他人に煩わされることもなく生活していくことが性格に合っている、そんな人もいるのでしょう。
しかし、実際には煩わしいと思っていた人間関係に救われていた、ということに、FIREしてから気が付いてしまう、という人も多いということも感じます。
突き放したことを言えば、結局は人それぞれなのですね。
いろんな事例をなるべく参考にした後、では、自分に当てはめた時はどうなんだと、自分で考えるしかないようです。
FIREというのは、結局のところライフスタイルの一種でしかないわけです。
サラリーマンとして、毎月の収入を得るために一定の条件で勤務する。ここが別に煩わしいと思わないなら、FIREする必要はまったくないのです。
ちょっと人間関係に悩んでるとか、仕事が合ってる気がしないとか、その程度の動機で一気にFIREを目指すのはどうかと思います。
そして、FIREを目指す人が最初に陥りがちなのが、いくら貯めればFIREできるのか、金融資産残高の目標が低すぎる点です。
4%ルールにのっとれば、毎月20万円で暮らせる人ならば、年収240万円を得るために必要な金融資産は6000万円になります。
毎月10万円の生活費でよいなら、目標3000万円、毎月30万円の生活費を使いたいなら、目標9000万円になります。
ここで見落としがちなのは、それらの金融資産を運用し続ける必要があるということです。運用し、リスクを取れば、一時的にそれらの金額を下回っても生活費を引き出さねばならない場面も出てきます。それにどれくらい耐えられるか?
私は、4%ルールが初出になったと思われる書籍を読んでいませんが、ネットでの検索やマネー系の記事、ロバート・キヨサキを特に読んできた経験を元に考えると、生活費を賄うのに余りあるキャッシュフローが重要なのだと思っています。
結局のところ、常に増収を目指すべきだし、できる限り生活費を節約するべきだし、なるべく多くの資産を運用するべきだ、ということに行きつくのです。
もう少し具体的にいうなら、生活費が毎月10万円なら、収入はできる限り毎月10万円以上を上回るべきだし、そのための金融資産残高も3000万円を上回るべきです。収入20万円を基準にするなら、生活費はできる限り20万円よりも安くするべきだし、金融資産残高は6000万円よりも多くなることを目指すべきでしょう。
そして、仮にFIを達成できた、資産からの収入が生活費を安定的に上回る状態になったとしても、REを選ぶかどうかは慎重になるべきとも感じます。
大多数の人にとっては、適度に資産運用し、同時に勤労収入を得る、それをバランスよく行う、そんなライフスタイルのほうがよいはずなのです。
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